旧東海道の宇津ノ谷峠と明治トンネル、丸子宿「丁子屋」のとろろ汁を味わう静岡の旅

静岡市と藤枝市の境にある宇津ノ谷峠は、歴史の道百選に選出もされている名所です。江戸時代にも多くの旅人が行き交った道を歩きました。

※記載内容は2024年7月のものです。

旅程

静岡駅を起点に、移動を含めて約5時間の旅でした。

  • バス 静岡駅前~宇津ノ谷入り口 中部国道線 藤枝駅行き 約35分
  • 宇津ノ谷集落と旧東海道ハイキング 2時間
  • バス 廻り沢口~丸子橋入口 8分
  • 丸子宿の丁子屋でとろろランチと散策 1時間半
  • バス 丸子橋入口~静岡駅前 約25分

路線バスは、しずてつジャストラインの運行です。

宇津ノ谷

宇津ノ谷峠越の道は、文化庁選定の「歴史の道百選」に指定され、『伊勢物語』をはじめ、歌枕や文学にも登場する名所です。

豊臣秀吉が、小田原征伐のときに大軍を通すために拡張整備されたものと言われているとのこと。江戸時代に入って、正式の東海道として、参勤交代の大名や一般の旅人が通行する街道として賑わっていたそうです。明治維新には、明治天皇も馬で越えられた道です。

アクセスは、静岡駅からバスを利用しました。バス停「宇津ノ谷入り口」で下車。

バス停は、宇津ノ谷トンネルの出入り口付近にありました。

ちなみに宇津ノ谷には、明治から平成にかけて時代ごとに4本のトンネルが開通していて、このトンネルは、3本目の昭和トンネル(昭和34年)です(藤枝市から静岡市方面へ向かう登り車線)

昭和トンネルに入らず、山沿いの道に進むと、宇津ノ谷の集落につながっています。

宇津ノ谷集落

宇津ノ谷は、東海道の二つの宿場丸子・岡部の間に位置する間宿です。

バス停から歩いて5分ほどで、集落の入り口に着きました。

丸子川に架かる短い橋を渡ると、集落に入ります。

旧東海道沿いに、古い家並みがありました。

電柱と電線はあるものの、こぎれいで趣のある集落の様子は、昔と変わらないんだろうなと感じます

家並みはすぐに途切れて、振り返ると緩やかな上り坂だったことに気づきました。

道なりに更に進むと、峠を越えるべく山間に入っていきます。少し上ったところに、集落を見下ろすポイントがありました

京都側の岡部宿から江戸側の丸子宿に向かって歩いた旅人は、無事に峠を越えてこの集落が見えたら嬉しかったでしょうね。

山間の集落の景観は、なんだかホッとします。

明治トンネル

宇津ノ谷集落を越えて旧東海道を進む手前に、この峠に最初に掘られた明治トンネルが残っています。日本初の有料トンネル!

ネットで見て、トンネルを歩いて抜けられるようだったので、行ってみると・・・

通行止めでした・・・。

「倒木・崩土により、この先通行できません」ですって。倒木も崩土も目視できないので、その恐れがあるというだけかもしれません。

通行止めのコーンからではありますが、レンガのトンネルがよく見えました。

この明治のトンネルは、国の登録有形文化財の一つです。

明治9年開通だそうですが、この眺めは、昔も今も変わらないのでは。

ちなみに、山道で峠を越えて反対側のトンネル入り口を見に行ったところ、当然そちらも全面通行止めで、そちら側からはトンネル入り口さえ遠くに一部見えるだけでした。残念。

旧東海道

明治トンネルを抜けることなく、峠の歴史を足で感じるべく、江戸時代までと同じ旧東海道の山道を進みます!

暑い夏の日ではありましたが、自然の中で木陰を歩くだけで、心持ち涼しく感じました。

途中、「宇津ノ谷峠」の表示がありました。

武士も大名も旅人もここを通った。当時と同じ旅を体験できてます。

宇津ノ谷峠を越えてそのまま藤枝方面へ歩くと、最初に下りたバス停から見えたトンネルの、反対側の出入り口の場所に着きます。

宇津野峠のトンネルで一番新しい、平成トンネル(静岡市から藤枝市方面へ向かう下り車線)です。

時代の流れとともに移り変わる峠道の様子を肌で感じることができました。

旧東海道歩きはここまで。更に藤枝市方面へ15分ほど歩き、道の駅「宇津ノ谷峠」まで行きました。

ここに、「廻り沢口」バス停があります。静岡駅方面は、1時間に2~3本のペースで走っています。

暑い中歩いたので、涼しい部屋で冷たい飲み物を飲んでバスを待てるのがありがたかったです。

丸子宿(まりこしゅく)

お昼ご飯は、以前から訪問してみたかった丁子屋へ。

「丸子橋入り口」バス停で下車して、道を渡ったところにあるお店です。

とろろ汁丁子屋

江戸時代から丸子宿名物の、とろろ汁のお店です。

建物は、国の登録有形文化財。ステキな佇まいです。

お店に入ると、天井が高く、立派な梁がそのまま見える屋造りです。

中2階が、無料の博物館になっています。食事をしなくても、見学だけでもOKとのこと。

展示物は、東海道の周辺の宿場町の浮世絵とその解説や、『東海道中膝栗毛』の作者十返舎一九の像など。これらが、江戸時代の旅ブームを起こしたことが学べます。

興味深かったのは、宿場町の高札場(幕府からの通達事項を掲げる情報版)にかかっていた高札で、「徳川慶喜が大政奉還したことを知らせる高札」です。

当時は国の一大事を、こんな風に手書きの張り紙だけで周知していたんですね。現代の情報の早さと多さとを思い知りました。

食事をした部屋は、通路を歩いて別棟にある、畳の大部屋でした。天井をぐるりと飾るのは、歌川広重の東海道五十三次の浮世絵。

注文したのは、「府中」というセットです 2,750円

とろろ汁、麦めし、薬味を自分好みに茶碗によそっていただきます。

とろろには、白味噌の味がついていて、ほんのり甘みを感じます。これはおいしい!

揚げとろがひとつと、おかべ揚げがふたつ。

揚げとろは、すった自然薯に海苔を巻いて揚げ物でとろとろ。岡部揚げは、豆腐と山芋の揚げ物で、ほくほくふんわり。

どちらも熱々でとてもおいしい。

珍味の2種(むかごの梅煮、しらすのくぎ煮)に、お味噌汁、香物も付いています。

甘味は、紫芋の水まんじゅうとメロンでした。

おちゃも急須にたっぷりいただいて、満腹です。

浮世絵に描かれている丁子屋の絵が大皿に印刷されたもの

今も江戸時代と同じ景色が残っているんですね。いや、そう残そうと努力されているのが素敵です。

丸子宿には、この丁子屋と高札場跡が残るだけで、観光に適した名所は他にありません。それでも、訪れて良かった場所の一つでした!

以上、宇津ノ谷集落と峠、丸子宿の丁子屋訪問記でした。

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静岡駅北側の、駿府城の観光↓

登呂遺跡と、駿河湾地魚海鮮丼↓

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