「宿坊に泊まる」という観光。
いつもとちょっと違う体験ができる、延暦寺会館の宿泊記です。
延暦寺の宿坊とは
比叡山延暦寺には、京都側からも滋賀の大津側からもケーブルカーがあるし、ドライブウェイが整備されていて車でも行きやすいので、日帰りでの訪問客が圧倒的に多いです。
が、延暦寺にそのまま泊まるという方法があるんです。
「延暦寺会館」という境内にある宿坊が、宿泊場所です。
この宿坊が他の宿坊と違う点は、絶景風呂と絶景レストランを備えていること。
延暦寺の宿坊に泊まると、比叡山からの琵琶湖の眺めは素晴らしく、夕暮れから夜景・朝焼けも、静かな山の宿で楽しめます。
また、日中は観光客が多い延暦寺ですが、観光客の来る前・去った後の静かな境内を堪能できます。
宿の建物は、比叡山の東塔地域境内、根本中堂の近くに位置しています。
宿泊客に制限はなく、当然宗教も国籍も問われません。
予約の方法も、通常のホテルと同じように、ネットの予約サイトでできます。
宿坊に泊まることでできる、珍しい体験は二つ。精進料理と朝のお勤めです。
実際に泊まってきたので、詳しくご紹介します!
部屋・展望大浴場・館内
お部屋
和室に広縁がついた、清潔で簡素なお部屋です。
琵琶湖側の部屋を指定したので、窓からは素晴らしい眺め!
お菓子に置いてあったのは、嬉しいことに「叡山ふくみ天平」。
たねやのお菓子「ふくみ天平」に、茶葉を加えて比叡山延暦寺バージョンにしたものです。
6個入り1,800円で販売されていたので、ひとつ300円。
部屋のアメニティは、浴衣とタオル大小・歯ブラシ
布団を敷くのは、自分です。
ベッドに慣れていると、敷布団・シーツ・掛布団・枕をセットしていく工程体験も、ちょっと非日常です(笑)。
冷蔵庫は空ですが、自動販売機があります。ビールなどのアルコールもありました。
しかも、良く冷えてて美味しい!
部屋で絶景を堪能しながらビールを飲む時間。
お風呂
男女別の展望大浴場があります。
時間は、16~22時で、朝風呂はありません。
お風呂は、琵琶湖に向かったガラス張りの大浴場で、眺望が楽しめます。
女性側の情報ですが、脱衣所にはPOLAのクレンジング・化粧水・乳液が設置してありました。
この大浴場、温泉旅館かと思えるほど十分広い。
混み合うことなく、ゆっくりと湯船に浸かって絶景に見とれることができました。
館内
売店と喫茶室がロビーフロアにあります。
売店は17時まで、喫茶室は日によって営業時間が異なるようですが、同じく夕方には終わっていました。
飲み物は、ソフトドリンクもアルコールも自動販売機で買えます。
Wi-Fi完備。館内は浴衣・スリッパで過ごせます。
夕食の精進料理
食事は、2階のレストラン『望湖』にて。
夕食は、時間が17:30~19時の間で自由。
事前予約は必要なく、時間内に入ればよいというシステムです。これは便利!
メニューは、主に地元の食材を使ったという精進料理です。
仏様のご縁と生きとし生けるものの恵みによって食事をいただく。味の濃い薄いや品数などに不満を言わず、恵みに感謝する。
『延暦寺会館食事略作法』要約
とありましたが、こんな豪華で不満などありませんとも!
いただきます!
いくつか写真付きでご紹介します
八寸
湯ざく・蒲焼き・ミニトマト漬け・青紅葉・笹巻・苺市松
向付
生湯葉と六条麩の刺身
蓮根と海老芋、三度豆の和え物
他に、比叡胡麻豆腐に炊き合わせ(湯葉煮・赤蒟蒻・冬瓜・大黒しめじ・京花麩)も。
揚げ物
湯葉カツ、青唐添え
鍋物
汲み上げ豆腐鍋
出汁が、鰹節などは使えないから、昆布や野菜からだけなのに、すごいしっかり感じました。
お食事
香の物・ごはん・吸物(じゅん菜、干し湯葉)
デザートは、抹茶豆腐プリンでした。
精進料理を食べる時の作法は色々あって、例えば食事中のおしゃべりNGと聞きますが、この延暦寺会館では、食前と食後の合唱とあいさつのみの、略作法を推奨されています。
みなさん、普通に会話をしながら食事を楽しんでおられました。
種類は限られていますが、アルコール類も注文できましたし。
ごちそうさまでした!
食後は、部屋でのんびり。
日が落ちて夜景になるまで、刻々と色合いが変わる様子を眺めました。
朝のおつとめ
朝は、根本中堂にて朝のお勤めに参加します。
時間は朝6時半から、約30分です。
朝日はもう昇っていました。
特に朝の館内放送や道案内は無く、自分で起きて時間までに根本中堂まで歩いて行くスタイルでした。
6:15頃に部屋を出発しても、余裕で到着する近距離です。
根本中堂は、現在長期の改修工事中。
お勤めは、お坊さんたちが登場して整列し、読経してから退場されるまでを、本堂の中で見守るような感じです。
その読経の中で、チェックイン時に記入した宿泊名簿に従ってだと思いますが、居住県と氏名を読み上げて祈念してもらえました。
読経の中で、次々と人の名前が詠われるので、耳が自分の名前を探しましたが、これは事前にアナウンスが無かった(私は知らなかった)ので、最初に名前を呼ばれていたら、聞き逃していたかもしれません。
その後、僧侶の法話をいただき、「一隅を照らす」の意味を知りました。下手に解説して間違って伝わるといけないので、ここでは詳細を控えますが、心に留めておくべき言葉だなーと思いました。
お勤めのあとは、根本中堂と宿の間にある「文殊楼(もんじゅろう)」を経由して宿に戻りました。
文殊楼へは、根本中堂の正面の階段を上がります。ちょっとキツイ!
江戸時代初期の建造物で、国の重要文化財。見る価値アリです。
朝のお勤めは、早起きして、神聖なお堂に朗々と響くお経を浴びることで、とても落ち着いた心持になります。
一日の始まりがこんな贅沢な時間だと、満足度が高まり、この日がいい日になる予感しかしないんです。
朝のお勤めに参加したことがないか、宿坊に泊まったことがない方には、ぜひ一度体験してみていただきたいです。
朝食の精進料理
朝食も、夜と同じ湖を望むレストランで。
時間は、7時から8時の間に入ればいいという、フレキシブルな対応です。
朝のお勤めから戻って朝食会場に直行すると、7時過ぎでちょうど良い時間になりました。
朝食の精進料理は、温かいご飯と味噌汁、ごはんに合うお漬物など。
ヨーグルトがついていました。
乳製品は動物性の食材なので、基本的には禁止のはずですが、直接的な殺生とは違うからいいということでしょうか。
レストランの外に、JRの「そうだ 京都、行こう。」のポスターが貼ってありました。
このポスター、根本中堂の中の写真です。朝のお勤めが行われたところ、ここです。
チェックアウトは10時。
ちょっと早めに9時ごろ出発すると、まだ観光客が来ておらず、人気のない東塔地域を散策できました。
阿弥陀堂へ続く階段が、きれいに掃き清められているところ
日中は行列ができる鐘楼も、かなり静かでした。
比叡山めぐりの観光については、また別の記事で紹介させてください。
以上、比叡山延暦寺の宿坊「延暦寺会館」宿泊記でした。
コメント
いいですね~、延暦寺会館!!
景色もいいし、お料理もいいし、すごい(*^^)v
精進料理って言われなければ、分からないかも?(笑)
ヨーグルトは、厳密には殺生じゃないのでサービス??
いずれにせよ、感謝し食べることに集中すれば問題ない、ということでしょう(^^)/
tabisurueiyoushiさん
そうなんです、なかなか良かったです、延暦寺会館。
たんぱく質が足りないという判断でしょうか、ヨーグルト(笑)
おっしゃる通り、食事に感謝!で、残さず食べる。というところが
心に留めるべき教えだろうと考えました。